つまみ

balab通信

街の記号 その7:神楽坂

11年04月04日

学生街とはまったく趣の異なる街が神楽坂だ。

フランス文学の先生と神楽坂でランチをしようという話になったとき、お店はすぐに決まった。うどんすきの鳥茶屋の別亭だった。内緒話をするにはもってこいの静かで落ち着いた店である。

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     写真:鳥茶屋のたたずまい

曲がりくねった坂道や黒塗りの壁や石畳は、まさに神楽坂を象徴している。ただ、昼間はごみごみした都会の雰囲気と入り混じっているのであるが、夜になるとそのごみごみが隠れてしまう。ポッと灯りのついた坂道にたたずむと、自分だけのゆっくりとした時計が動き出す。

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     写真:灯りの織り成す異空間

神楽坂は心を癒してくれる場所だ。それも夜でなくてはいけない。余計なものが隠れるだけでなく、夜の灯りのなかに人の温もりが伝わってくる。花まで鮮やかに映るのだ。そんな情景を考えると、この昼と夜のコントラストが神楽坂の記号ではないか。

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     写真:(上)昼の焼き鳥屋、(下)神楽坂の記号 夜の焼き鳥屋

もっとも、神楽坂はフレンチやイタリアンのお店でも有名だ。

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     写真:神楽坂のフレンチ

こんなおじさんが店の前にいると、ついつい入りたくなってしまう。それよりも、お客さんの顔が見えるオープンな店の雰囲気が新鮮にみえる。「一元さんお断り」の玄関を閉ざした、いわゆる神楽坂らしい店への挑戦ともいえる。

小川克彦