11年08月09日
クルセイダーズが1979年に出した「ストリート・ライフ」はあまりにも有名なアルバムだ。ジョー・サンプルのキーボードに、ウィルトン・フェルダーの包み込むようなサックスが重なる。元祖、メローなサウンドである。ランディ・クロフォードの甘い歌声に、誰でも思わず歌詞を口ずさんでしまう。
I play the street life
Because there's no place I can go
Street life
And it's the only life I know
Street life
And there's a thousand parts to play
Street Life
Untill you play your life away
このアルバムのジャケットの色が印象的だった。オレンジの灯にグリーンの影。私にとって、どんな街でも、色といえばこの2色が浮かんでしまう。
ハノイの街は何度となく紹介してきた。特に、夜の街では家族連れやカップルの相乗りドライブがよく似合う。バイクのドライブもストリートライフには違いないが、それだけではない。
夕方ともなれば街のあちこちでカップルが仲良く語りあう姿が見られる。公園にはヨガを楽しむ若者たちがいる。オレンジ色の街灯を背にして、黒い影がゆらゆらと地面を踊る。何も特別なことではない。ごくごく普通の生活のように、ゆっくりと街の時間が進んでいく。ハノイのストリートライフだ。
歩道に目をやると、お母さんが子供たちに自転車を教えていた。バイクに乗る前にまずは自転車なのか。よたよた走る女の子の自転車に、3歳くらいのチビが走ってついていく。隣ではケータイ片手にメールをしているお母さんもいる。もう夜の10時をすぎたのに、ハノイのストリートライフはこれからのようだ。
実は、これを書いているのは2011年8月9日で、今、私はハノイにいる。
2006年、日本からの資金援助をもとにハノイ工科大学にIT学部をつくった。これにはハノイ工科大学と立命館大学と慶應義塾大学の先生たちが協力している。私がハノイにたびたび来るのはこのためなのだ。そして、ようやく今日、はじめて卒業式を迎えた。最後に、第一期の卒業生たちの喜びの顔を載せておこう。
小川克彦