つまみ

アウトプット

『ファッションで町を楽しむ・ファッションマップの提案』 -場所メディアとしてのファッション-

2008年度 - 岡野 奈緒子(環境情報学部)

概要

私達は普段暮らす『町』という大きな空間を様々なメディアを通して認識している。ここでいうメディアとは情報を発信し伝達するもの、また、コミュニケーションの媒介項として存在するものだと考える。その定義に基づけば、町の中に存在する様々なメディアにより私達は町とコミュニケーションを図っていると考えられる。つまり町に存在する場所メディアを通して私達は町に存在しそのこと自体を楽しむことが出来るのである。

例えば、道路や区画・住所、店や地名、そこを通る鉄道などの公共交通機関などの概念により町は整頓されている。そしてそれを目に見える形にアウトプットしたものが地図というものではないだろうか。地図に載っている指標はつまり町に存在する場所メディアなのだと考えられる。

しかし、町と私達のコミュニケーションの媒介となっているものは既存の指標だけではない。町と私達の関係は時と場合によりいかようにも変化するのであり、それに合わせた場所メディアの提案がより町を楽しむコミュニケーション方法を見つけることにつながるのではないかと私は考えたのだ。

通勤や通学で町を利用する、買い物や家族・友人との憩いのひと時を過ごす、また一人でふらっと歩いてみる。町との関わりは日常に一部であるが、一人の人間でも同じ町に何度も違う目的や意義を持って訪れる。目的が違えば違った気持ちで町を歩いたり、周りを見たりしているはずだ。

そんな千差万別で可変的な町との関わりを新しい視点としてのメディアで切り取り、それを地図という形で表現したら予期していなかったところにエンターテイメントが生まれるのではないだろうか。いつもと変わらぬ町をいつもと違う地図を持って歩く。日常に楽しみを、そして同じ町が何か違うものに見えて楽しくなる。

私はこの研究を通して町を歩くという極めて日常生活の中に浸透している当たり前のことがある種の娯楽=エンターテイメントになる、そんなメディアの提案を模索した。