2010年度 - 渡邉 裕之(総合政策学部)
twitter上では「偶然の連鎖」が生まれる。「偶然の連鎖」というのは、発言者が特に意図せず発したつぶやきが、他の誰かによって返信、リツイートされることによって生まれるやりとりである。本来、つぶやくという行為は「現実世界において、小さい声でひとりごとを言う」ことを意味していた。しかし、twitterの普及によってつぶやくという行為が現実世界からネットの世界へと拡大していったのである。それが要因となり、本来のつぶやくという意味からは想像できない、つぶやきからコミュニケーションが生まれるという事態が増えてきた。
しかし、この偶然の連鎖を単にコミュニケーションと言うには、私は少し違和感を覚えている。普段私たちが日常生活で行っているコミュニケーションとは、双方向にやりとりをするものであり、twitter上で行われる「偶然の連鎖」には必ずしも双方向のやりとりがなされていないように感じる。
私はこの「偶然の連鎖」にはどのような特徴があるのか、またこの現象をコミュニケーションと呼べるのか否かを考察するために、本論文ではtwitterの特徴やtwitterをめぐる最近の議論についてまとめ、「みなとメディアミュージアム」というイベント中におきたtwitter上での約500回のツイートを分析した。
分析の内容としては「#mmm2010」というハッシュタグが付いたタイムライン上で起きた「偶然の連鎖」を4つに分類し、そのパターンとフォロー、フォロワーの関係がどのようにリンクしているのかについて考察した。またみなとメディアミュージアムには大学関係者、地域関係者が存在しており、その両者の関係をつなぐ「ハブ」の存在が見つかった。この「ハブ」の存在が「偶然の連鎖」にどのような影響を及ぼすのかについても考察していく。
「偶然の連鎖」については概念的な議論はされているものの、実際に具体的な事例を用いて分析しているものがあまり見受けられないため本論文は上記のような内容を中心に論じていく。また、みなとメディアミュージアム開催中のツイートを用いたため、イベント関係者に対してツイートをするという目的があり、実際の「偶然の連鎖」の意味合いが薄れ、この調査結果を一般化することは難しいが、「偶然の連鎖」の一つの側面を調査するものとしてこの論文を執筆した。
偶然の連鎖-みなとメディアミュージアムにおけるtwitter上の意図せず始まるコミュニケーション-(PDF)
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